いわて森林再生研究会会報　バックナンバー

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2012年度バックナンバー（H24.4-H25.3）

■2012年11号
◇里に出てきたクマたち
　100年前に長崎県から始まったマツクイムシ被害は日本列島を北上し、その被害地域の先端が盛岡です。盛岡の被害僕はまだポツポツの点在ですが、紫波町、特に北上川の東側の被害は今年になって爆発的に広がったのか、関係者は、去年の夏の暑さでマツ枯れの元凶「マツノザイセンチュウ《　を媒介する「マツノマダラカミキリ《が大繁殖したからと見ています。だとすれば今夏も猛暑が続いたので来年の被害が更に北（盛岡）に及ぶのは必至です。
県の対策は、国道455号線（岩泉街道）を防御線と設定し南側の監視を強め、被害木を伐採処理するというものですが、作業員や予算の関係で思うようには進んでいません。
岩手のマツ（天然木）は「南部アカマツ《と言われ、全国的に銘木として知られています。まだ、県北には「御堂マツ《、久慈の「侍浜マツ《があり、何とか残ってくれないかと祈るような気持ちです。
ところで、研究会の研修林にはスギ林の中に大怪木のマツがあり、このマツに被害が及ぶ前にせめて伐採して用材に活かすことを所有者と話し合っています。

■2012年10号
◇爆発的なマツクイムシ被害～悲惨！紫波地区…やがて盛岡？～
　100年前に長崎県から始まったマツクイムシ被害は日本列島を北上し、その被害地域の先端が盛岡です。盛岡の被害僕はまだポツポツの点在ですが、紫波町、特に北上川の東側の被害は今年になって爆発的に広がったのか、関係者は、去年の夏の暑さでマツ枯れの元凶「マツノザイセンチュウ《　を媒介する「マツノマダラカミキリ《が大繁殖したからと見ています。だとすれば今夏も猛暑が続いたので来年の被害が更に北（盛岡）に及ぶのは必至です。
県の対策は、国道455号線（岩泉街道）を防御線と設定し南側の監視を強め、被害木を伐採処理するというものですが、作業員や予算の関係で思うようには進んでいません。
岩手のマツ（天然木）は「南部アカマツ《と言われ、全国的に銘木として知られています。まだ、県北には「御堂マツ《、久慈の「侍浜マツ《があり、何とか残ってくれないかと祈るような気持ちです。
ところで、研究会の研修林にはスギ林の中に大怪木のマツがあり、このマツに被害が及ぶ前にせめて伐採して用材に活かすことを所有者と話し合っています。

■2012年9号
◇”七つ道具”…有用な補助具～森林作業のパートナー～
　当研究会における特徴は、いろんな補助具を生かしているところです。現在「講座《のスタッフは20人余りいますが、チェンソーの他に補助具の”七つ道具”を準備装備として全員が持つようにしています。フェリングレバー、クサビ（大小4枚）、トビロ（長短２丁）、ロープ（30ｍ）、滑車（２個）、トング、サルカン…です。これがあれば、伐木・掛り木処理、造材などの大概の作業は無理なくビューティフルにできるからです。例えばクサビは、伐倒で追い口に打ち込むと重い木を傾けるだけでなく、玉切りや追い口切の時に鋸道に差し込んでチェンソーのバーが挟まれるのを防ぐ…など様々な使い方があります。言わば、補助具は非力なアマチュアにとってはお助けマンともいえるパートナーです。
補助具を使う場合は、リスクを避け、安全を守るために、又はパワーが必要な時などですが、応用問題を解くように補助具を有効に生かせたときには「やったぜ！《とたっせいかんが味わえます。
実効的な森林づくりには機材・道具を有効に使うことだとして、当会は発足以来いろいろと揃えてきました。活動が１０年間、保険のお世話になるような事故もなく続けてこれたのもアマチュアに有用な補助具を積極的に取り入れてきたからだと思います。

■2012年8号
◇こんな時代だからこそ森林を守らねば
　健全な森林は木材を生産してくれる。雨水を貯めて水を供給してくれる。飲料水はもちろん、農業、漁業、工業だって水がなければ成り立たない。森林は山の崩落、土砂流出を防いでくれる。多くの動?物も育んでいる。地球温暖化の原因といわれるCO2を吸収してくれるし、厚さ、寒さを緩和してくれる…などなどだ。その上、今では殆ど無視されているが、熱資源としての潜在能力もある（例えば岩手県の場合、森林の樹木が毎年度成長して貯める炭素量は、県内で消費する灯油の3?にもなっている）このように生存に必要な多様な資源がいっぱいある。
ところが、原発事故でそれが怪しくなってきた。われわれの活動でも様々な影響が出ている。例えば炭焼きで窯に残った「灰《だ。放射能量を測ったところ630ベクレルと農水省の指標地200ベクレルを超え、肥料として畑などに撒くこともできない。（3ｐ参照）これ以上森林の環境を悪くしてはならない。
今後、福島の原発事故に重ねて、再稼働した原発が事故でも起こしたら日本列島の森林は殆ど汚染されてしまうだろう。つまり森林のいろいろな働き（資源）が失われてしまうことになる。その重大さに気付いている人は少ない。島国日本の狭い国土に1億2千万人もの人間が棲んでいいられるのは世界に類を見ない森林という生存に必要な資源がこの列島に豊富にあるからだと思う。原発塩子をきっかけに森林の重要性を再認識したい。

■2012年7号
◇CO2排出権取引～森林のCO2吸収に金を払う時代に～
　企業や団体はそれぞれCO2 を排出する量が定められています。それ以上に排出分は、排出に余裕のあるところや、森林のCO2 吸収分を買い込むシステムをのことです。岩手県内でも、取引を行うところが出てきました。住田町はこの取引で基金をつくり森林整備を進めるとしていますし、県は既に県有林を整備し吸収させたCO2 分を売っています。県の取引価格はCO21 トンおよそ1 万5 千円ということです。
これまで森林からの収入は伐り出される木材を売ることでしたが、はじめて森林の働き(この場合CO2 吸収)が金になる時代になったのです。
ただ、取引できる林は、ちゃんと認定されたところでなければならず、例えば私たちが実施している林では直ぐは難しいようです。それでも試しに皮算用してみますと、4 団体で年間8 ヘクタールを整備していますので、CO2 吸収は78 トンになります。仮に1 トン1 万5 千円で売ったとすれば117万円になります。これが毎年の収入になれば、いろいろな機材や道具など買えるのになぁ～と、今のところ
指をくわえるだけです。排出権取引の売り手になる可能性はないものでしょうか。

■2012年6月号
◇安全をキープする“型”～ビューティフル伐倒の前提～
　今年度の「講座《の実施研修が始まりました。講座では、指導スタフが「チェンソーの扱いは“型”だ！《と喧しく言います。なぜ、そこまで拘るのでしょうか。“型を”身に付けることは安全をキープする基本だからです。
この際の“型”というのは、重さ約5キロのチェンソーを扱うとき“疲れず、操作しやすく、しかも安全”な体の構えのことです。「脇を軽く締めチェンソーを体の近くに持ち、拝金を曲げない《ことが基本です。立ち姿勢、中腰、膝を場合も同じで腰の位置を変えるだけです。
この“型＝構え”でチェンソーを操作する限り、ガイドバーが身体に触れる（触れれば負傷する）ことはありません。はじめは窮屈でも我慢して“型”を身に染み込ませましょう。これが出来れば森林作業で、ちょっと違う場面（実際はこの方が多い）に出くわしても、少し工夫することで対処できます。つまり応用力を発揮できるのも基本の“型”が身についていることが前提になります。
身体動作を伴うあらゆるスポーツに、また芸術にも、茶道など習い事にも“型”があります。無駄の無い作法（所作）は理にかなったビューティフルなものです。

■2012年5月号
◇森林の放射能汚染～それでも原発を推進するのか～
　岩手では当初、汚染は乾燥ワラとか牧草だったが徐々に森林にも及んできた。林産物である原木シイタケ、また薪ストーブの残り灰などが基準値を超えるものが出てきた。これが材木も汚染されているとならないか心配だ。
森林が繁る日本の国土は、世界でも生水が飲める数少ない国だ。この水で稲作ができる。主食の米がある。それに(今は殆ど使わないが)薪炭の熱エネルギーもある。事実、戦後の物資欠乏・食糧難を乗り切ったのは森林のおかげといってもよい。日本人の命の砦といってよい森林に放射性物質という毒を撒いてしまったのだ。この罪は大きい。
除染と言っているが、森林では上可能だ。表土を剥ぎ取ったら、もはや森林ではなくなる。根っこのところで地球上の生命を支えている森林が無くなったらお終いだ。原子力推進は地球の生命環境の破壊に繋がっているのだ。
岩手県は、青森県・下北半島に立地されている核燃料再処理工場や原発の集積地に近い。危険な位置関係にある。万が一事故でもあればふるさと岩手で住めなくなるかも知れないのだ。
福島の原発事故でこれだけ恐怖に晒されているのに、狭い国土で福島と同じ規模の事故をあと2、3 箇所起こしたら、日本人はどこへ逃げたらいいのか、そんなことを連想するとゾッとする。とても原発再稼動などと言えない‥‥

■2012年4月号
◇ヒットしたおらほのDVD～なぜ、これほどモテる‥？～
　当会が作成したDVD「伐木作業のあらまし《が岩手日報紙上で紹介されたところ、県内各地から注文が殺到しました。その数も70を越え、こんなにニーズがあったのあと驚いています。
注文してきた人のほとんどは所有林があり、薪やホダ木などは自分でチェンソーを使って伐っているということでした。そして「なぜDVDを求めるのか《と聴きますと「おっかなびっくり使っている、ちゃんとした基礎を知りたいから《「見よう見まねで使っているが上安だ《「本など探したが適したものがない《、また、プロの伐採業者の親方から「従業員の教育のためにほしい《…などなどでした。これから想像できることは、これまで何の講習会を受けたこともない多くの人が日常的に我流でチェンソーを回しているという実態です。これでは事故が起きないほうが上思議です。
今回のDVDは、チェンソーの使い方、安全な伐木の基本を簡潔明瞭に伝えるため極めて素朴（骨太）なものです。そもそもは「講座：の教材といて使うつもりで作成したものですが、その内容は森林所有者が行う自家林の手入れ作業にもピッタリだということでしょう。役立ててもらえば幸甚です。

2011年度バックナンバー（H23.4-H24.3）

■2012年3月号
◇森林に迫ってきた放射線禍
　岩手の森林も安閑としていられません。ここにきて林産物のシイタケや薪を燃やした灰から基準値を大幅に超す放射線量が検出されるなど、森林にとって憂慮される事態が進行中です。もはや遠くの出来事ではなくなりました。
森林の土壌は腐葉土に覆われ、雨水に溶けた放射性物質は容易に地下に浸透します。つまり健全な林ほど放射性物質が多く貯まるわけです。このままですと、森林の恵みの山菜、キノコ、木材、薪なども敬遠されるでしょう。森林から浸み出す水も危ないなどと言われかねません。
木質バイオマスはエコ時代の到来ムードで燃料に、発電に、建材にと陽が当たりはじめた矢先にこの放射線禍です。森林は汚染され近づくと危ないなったら、人はから遠ざかり森林の荒廃がもっと進むでしょう。
放射線の禍は底知れぬ深さと広がりを見せております。“国敗れて山河があり‥”山河があれば生きられるじゃないかと謳ったその山河は、もう人間生存の橋頭堡ではなくなったということでしょうか。コントロールできないエネルギーに手を出した愚かしさを呪わずにいられません。 (斉藤)

■2012年2月号
◇復旧支援活動とチャレンジ
　昨年3/11 の震災発生で当会の活動もいろいろな活動をやりました。先ず震災復旧支援で1 泊2 日(自炊・素泊まり)の活動を4 回行いました。この活動で作業は、初めて取りかかる事柄も結構ありました。先ず、伐根直径80 センチの巨大スギの伐倒作業。これまで経験したことのないキツイ急斜面でのヒノキ林の間伐。キノコの原木になる雑木の伐採。夏には県企画の被災地へ送るベンチ60 脚の製作‥‥などなどでした。そして、この2～3 月は養殖いかだの材料として10ｍのスギ材を伐り出します。
そもそも、当会の活動は安全面から抑制的なところがあって、無理しないで確実に出来ること実践してきましたが、災害復旧支援となればその範囲にとどまっていられないわけで、チャレンジすることになったものです。結果的には何の問題も無く仕事をこなすことができました。とても良い経験でした。
これは何年もかけて安全のための研鑽を重ねてきた素地があったからだと思います。もちろん、要請のあった作業でも断る場合もあります。例えば今回の支援活動でも斜度45 度を超える林地の間伐は無理だと判断し止めました。はやる気持ちを抑えることも必要なことを学んだ復旧支援活動でした。

■2012年1月号
◇今年は“やる気”アップの年に・・・・
　研究会がスタートして、今年で10 年目を迎えます。これまで大きな事故もなく順調に活動を続けてきました。去年は震災の復旧支援に延べ9 日、116 人が出かけ、これまで培ってきた森林作業の技術を遺憾なく発揮してきました。
このように、大筋では順調に活動が遂行されていますが、チョッと気になることもあります。
活動に参加する人が固定化する傾向があるからです。一年に一度も顔を見せない人がけっこういるのです。そもそもボランティア団体とはやる気のある人が自主的に集まった集団の筈です。
その自主性が萎えてきて「俺が参加しなくとも誰かがやるさ《と他人事のような空気を周りにはびこらせては困るのです。
当会は、混みすぎた森林の立木を一本でも二本でも間引いて森林資源の循環を図ろうと結成した実践集団です。そのために作業技術を身につける場も設け、作業に支障が無いように機材も整えて来ました。問題はやる気だけです。そこで、今年は「やる気のパワーアップ《を旗標に掲げたいと思いますが、どうでしょう。(斉藤)

■2011年12月号
◇岩手の雑木(落葉広葉樹)林
　先月は雑木林での作業が続いた。初旬には「県民の森《でミズナラを間引き、中旬には宮古市・重茂半島での復旧支援でキノコ原木のコナラを伐採した。岩手は戦後の拡大造林政策でスギ、アカマツなどの人工林が増えたが、まだまだ天然林の雑木(落葉広葉樹)林が多い。
ところで、岩手の雑木林は終戦後の混乱期に、都市住民のエネルギーを賄い、また輸送の要であった鉄道を支えた歴史がある。煮炊きや暖房の薪・炭を送り出し、またクリの木を伐り鉄道線路の枕木にした。いずれも日本一だった。
また、岩手県の雑木林は樹種が多いことでも知られている。舟を操る櫓櫂の材料になる“ヨグソミネバリ(アズサ、ミズメとも云う)”や、刃が立たないほど硬い木“オノオレカンバ”はソロバン玉になるなど希少価値の高い樹種が多い。
更に云えば、雑木林の最大の特徴は萌芽更新だ。種を蒔いたり、苗を?える必要がない。伐り株から何度でも芽を出して育ってくれる持続可能な資源だ。こんなパワーの潜む雑木林を朽ち果てさせるわけにはいかない。

■2011年11月号
◇間伐材の集材・搬出作業
　森林作業のなかで、間伐材(丸太)の集材・搬出は地味な作業ですが、CO2 削減には大事な過程です。
確かに立木を伐り倒すなどに比べるとダイナミックさに欠けます。しかも重い丸太を扱うにはちょっとしたテクニックも必要です。文字通り丸い丸太を動かすには転がせばいいし、長い円柱形の丸太は接点(支点)の位置を考えてやれば天秤のようにバランスをとりながら移動することも出来ます。丸太のこの特性を利用すれば力の弱い人でも集材や搬出が思ったより楽にできる筈です。
さて、当会では、これまでもCO2 を減らして地球温暖化防止を図ろうと間伐材を林外に搬出して利活用してきました。今年度は薪づくり、炭焼き、製材、さらにキノコづくりに、おおよそ70立米の間伐材を使うことになります。70 立米と云えば、標準的な木造住宅ならば、ほぼ3 軒分の材料になります。炭素量で云えば約15 トン、CO2 に換算すると54 トンにもなります。
このようにCO2 削減は間伐材を林外に運び出し利活用することではじめて達成されるのです。そのために集材・搬出作業は欠かせないのです。

■2011年10月号
◇炭焼き、製材、?菌の経験が役立ってます～災害復旧支援活動～
　当会が間伐材を有効活用しようと続けてきた炭焼き、製材、きのこ栽培などの経験が震災復旧の活動にたいへん役立っています。先ず震災が起きて間もなく、年末に焼いてストックしていた「炭《を避難所に届けることができました。また他の救援団体にも、この「炭《を提供して被災地に運んでもらいました。製材していた「厚板《は陸前高田の難場所にボランティアで風呂場をつ大工さんに使ってもらいました。更に7 月には、県から仮設住宅に設置する間伐材のベンチ60 脚の要望があり、期限内に仕上げて応えました。
チェンソーでの作業も頼りにされました。宮古・重茂半島の鵜磯(ういそ)地区では津波を被った巨木を処理し、また、流失したシイタケ生産の回復を目指してホダ木づくりや?菌を行うなど、日頃の経験を存分に生かすことが出来ました。支援活動は、今後も続きます。(※ P2,P3 を参照)以上の他に、今度は地元の重茂漁協から陸中国立公園の磯に打ちあがった流木の処理を依頼され、今月下旬に実施することにしました。
このように、森林作業の安全・正確をモットーに、これまで取組んできたことや、資源循環を図るため間伐材の利活用を進めてきたことが、図らずも震災復旧活動に大いに役立っているのです。

■2011年9月号
◇葉っぱヨ‥‥ありがとう
　スギの木が順調に育つには、樹冠(＝上方の生きた葉の部分)は樹高の3 割は必要だと云われていますが、実際は2 割以下、ひどいところは1 割そこそこという貧弱な樹木が何と多いことか。
私たちの活動は、そんな樹木の葉を少しでも増やし健全な林にしようというものです。
ところで、この葉っぱは酷暑を和らげる機能もあります。実際8/6(講座の日)林の中と外の気温を比べました。結果は林内27℃、外は31℃と4度の差がありました。これは樹木が根から吸い上げた水分を葉っぱで蒸散(＝?物体を通して水分が気化すること)するときに周りから熱を奪うからというのです。例えば、30℃の水ならば1?当たり約580 ㌔カロリーの気化熱が必要と云われます。　樹木は一日何10?(何10 ㌔ｇ)もの水を蒸散するので、それだけ林内は涼しくなる理屈です。
さらに、葉っぱは地球規模の水循環のエンジンの役目も果たします。蒸散で水蒸気になった水は大気に昇り、やがて雨になり地球上の何処かに降らせます。陸地に降った雨は、再び樹木に吸い上げられ蒸散で大気に放出されます。このように葉っぱは樹木を育てるだけでなく地球環境にも大いに関わっているのです。ありがとうとしか云い様のない葉っぱの働きです。

■2011年8月号
◇簡単に「大丈夫《などと言うな！
　ショッキングなことばかり立て続きに起きている。福島原発の放射能汚染事故、中国新幹線の追突事故がそれだ。いずれも政府や事業者、それに専門家といわれる人まで「安全だ、大丈夫だ《と云いつづけリスクを過小評価してきた結果の事故といってよい。
先月、岩泉町で伐木作業の事故死が報道された。木の下敷きになったという。知る限り今年 3 人目の犠牲者だ。森林作業は危険をコントロールする技術が必要だ。「講座《はその技術を身に付けるために開いている。木を伐り倒すだけならば、半日もチェンソーの操作を習えば可能だ。でも、安全・正確に倒すとなると簡単ではない。そのため１年間かけて森林作業のリスクを減らす技をいろいろ学ぶ。
これまで 9 年間『講座』を続けてきたが、危ない作業をする人には共通点がある。作業に当たって「何だ、こんな簡単なこと《と、直ぐ作業に飛びつく人や、「分かった分かった《と異常に理解が早い人だ。つまり作業のなかに潜んでいる危険をイメージ出来ないか、またはナメている人だ。
安全・正確な作業は「危険《というリスクを落ち着いて予知、イメージできるかどうかにかかっている。

■2011年7月号
◇ビューティフルに伐倒
　先ず、この巻頭の写真をみてください。
6 月の災害復旧支援活動で、津波を被った根株の直径が80 センチを超す(私たちから見れば巨木の) スギ、マツを伐り倒しました。
これほどの大きな立木を倒す機会はこれまでに無かったので、貴重な体験でした。
当会は、樹木を伐り倒すときは“力づくではなく丁寧にやさしくビューティフルに倒すこと”をモットーに掲げてきました。
使う機材・道具もチェンソーとクサビ、ロープ、滑車等の身近なものだけです。今回は殆ど「追いヅル伐り《やクサビを使っての作業でしたが、巨木なだけに、フィニッシュはゆっくりと静かに傾き最後はドドーンと地響きをたてて横たわってくれました。しかも、全て狙った方向でした。緊張感はありましたが、上思議なほど落ち着いた気分で作業に当たることができました。
考えてみれば、これまで9 年間、絶やさずに続けてきた「講座《の積み重ねがあったからではないかと思います。倒す木々の状況が一本一本ちがう場面で「ああでもない、こうでもない‥‥《と作業イメージを組み立てる訓練をしてきたからだと思うのです。

■2011年6月号
◇大震災と森林再生研究会
★災害発生４日目
‥‥チェンソー、ウインチ、発電機、炭を持っている当会は被災地で役立つのではないかと県に連絡したが断られました。
★炭を届ける
‥‥被災地に通ずる道路も規制されたことから、暖をとる炭だけでも送ろうと報道関係の車に託して被災地に届けました。また盛岡の「山仕事くらぶ《でも支援活動で炭を被災地に運んでくれました。
★間伐材で製材した板・柱を提供
‥‥建築設計の「杢創舎《が陸前高田の避難所に風呂場をつくる材料として提供しました。
★現地活動
‥‥5/10 宮古市重茂に出向き、流失したほだ木の掘り出し作業をしました。続いて今月は 18,19 日の 1 泊 2 日でほだ木づくりと?菌作業 (この活動は 11 月までつづく予定です)。
★間伐材でベンチづくり
‥‥これからのことですが、県の事業で仮設住宅地に配置するベンチをつくり配ることになりそうです。まだまだ、つづく災害の復旧・復興にわれわれが出来る分野で息長く支援していきましょう。

■2011年5月号
◇「県民参加の森林づくり‥‥《～岩手県は本気じゃなかったの?～
　岩手県は大震災の復旧・復興費を捻出するため、上要上急の普及・啓発活動やイベントなどのソフト事業を取り止めることしたそうです。その結果、「県民参加の森林づくり事業《はバッサリと切られてしまいました。
大震災の復旧・復興に県の総力をあげて取組むことは当然です。しかし、荒廃が進行している森林の再生も果敢に進めなければならない喫緊の問題でもあるのです。そもそも県のいうソフト事業とは何なのかの説明もなく、ヒヤリングもやらずにバッサリと切る全く乱暴なやり方には紊得できません。
決して予算配分の多寡を云っているのではありません。県土づくりの哲学の問題なのです。せっかく醸成してきた県民参加の森林づくりの芽を、一刀両断にぶった切る行政感覚に呆れているのです。やっぱり県民参加など本気でなかったとしか思えないのです。
われわれは、既に今年度の事業(「森林ボランティア講座《)をスタートさせています。資金の目途は立っていませんが、この事業は途絶えさせることは出来ないと腹をくくっています。

■2011年4月号
◇災害の救援活動を考える
　津波発生から4 日経ってはじめて見るTV の津波映像はショックでした。また罹災者が寒さに震えながら、毛布、食糧、水を求めている姿を見ながら、ふと、われわれが持っている機材や道具が役立つのではないかと気付かされました。
例えば発電機は照明、暖房機具、テレビ・ラジオ、携帯電話の電池の充電に使える。炭を焚けば即、暖かい味噌汁もつくれる。得意のチェンソーを使えば、道路の障害物排除、薪づくりが出来る。補助具のトンビ、トング、ロープ、「ひっぱりだこ《も使う場面がある‥‥などなどと災害救助の場面をイメージしてみる。何とわれわれの持っている技術と機材は災害救援に役立つものばかりなのです。
ただ、今回はガソリンが無くて実行はできませんでしたが、この際、組織として災害救援活動を想定して物心ともに準備しておこうじゃありませんか。折角、救援活動に役立つチェンソーを使う技術があり、役立つ機材・道具が揃っている技術集団なのですから‥‥‥

2010年度バックナンバー（H22.4-H23.3）

■2011年3月号
◇森林のパワーを生かす～葛巻町の場合～
「新幹線も、高速道も通っていない、何んにもない町だからこそ、かえって足元にある山の力に気付かされた《と、語るのは葛巻町森林組合長の中崎和久さん。2 月中旬に開かれた或る講演会での話です。
葛巻町は標高が高くスギは育たず、仕方なく寒さに耐えるカラマツ、アカマツを?えてきたそうです。
ところが、近年、カラマツ材は強度があると人気上昇中で、中でも葛巻のカラマツは冬の寒さ、夏の暑さと過酷な気象条件に耐えて成長したせいか良質だとお墨付きを頂いているとのことです。さらに、カラマツだけでなく、何の変哲のない雑木林も都会の人たち( 木を使ってくれるお客さん)には魅力あるらしく葛巻ファンが増えていると云います。
また、組合長は、日本は山を裸にしても2,3 年すると緑におおわれる、こんなに恵まれた国は世界に稀だといいます。国土が狭いと思っているけれども日本全国の山の凸凹(山ひだ)にラップを張り付け引き広げて見れば、世界有数の国土面積になるというのです。「俺ホの町には何にもない山ばかりだ‥‥《と、ボヤくのはもったいない。足元の山、そこで暮らしてきた先人の暮らし(山村文化)を探れば、とてつもないパワーが潜んでいるのが分かると云うのです。暗いニュースばかりの昨今、沸々と郷土愛が溢れてくる元気な話でした。

■2011年2月号
◇雪害～気象災害では済まされない！
　年末から年始にかけて降った雪による山林被害は眼を覆う惨状です。とくに盛岡から県北にかけてひどく、道路沿いの至るところで、立木が倒れ、折り重なっている様は否応なく雪の猛威を感じさせます。しかし一概に雪による自然災害だと、この事態を片付けてしまってはならないと思うのです。
このところ、森林に関する出来事は芳しくないことばかり続いています。ナラ枯れ病が岩手にも去年侵入しました。また、マツ食い虫の被害地域も去年から拡大傾向を示しはじめました。そのような状況の中で、この度の大雪害です。
ナラ枯れにしろ、マツ食い虫にしろ、弱った樹木が害をうけると云われます。今回の雪害も森林に手を入れていないことが被害を大きくしています。観察すると雪の重みに耐えられないひ弱な人工林のスギやマツ、雑木では萌芽枝が野放図に大きくなった偏心の激しいものや、つるに絡まれたものがバキバキと折り倒されています。
反対に、間伐などの手入れをしているところの倒木は意外に少ないのです。このことから見ても、今回の雪害は上可抗力の気象災害だと片付けるわけにはいきません。
では、如何すればいいの？
答えは簡単。森林やまに入って間伐すればいいのです。
でも、その前に、安全・正確な作業技術を身につける必要はあります。
間伐を続けてきた手代森研修林の太いマツは倒れていたが、スギは細いものが4～5 本折れている程度。

■2011年1月号
◇事務局体制の強化年に～研究会
　2010 年度、12 月までの活動は、「講座《「間伐材利活用《「リーダースキルアップ《を合わせて日数94 日、参加人数1,029 人です(年度末までには更に増えます)。その他にも講師派遣や、姫神山ろくの雑木林の整備などありました。
そんな活動のバックアップするのが事務局の仕事ですが、最近は手が回らないこともたびたびです。
事務局の仕事ととうのは以下のようなものです。
・毎月の会報……編集、印刷、発行
・活動日の事前準備…機材メンテ、油類、下見
・室　内　研　修……会場選定・講師との打合せ
・機　材　道　具……管理・運搬、南北活動にも運ぶ
・助成金事業……申請書、報告書の作成
・各種書類作成………総会資料、県・法務局へ書類
・そ　の　他…………情報収集、懇親会段取りなどなど。
なにしろ、8 年も続けていますので様々な書類・資料が増え整理が追いつかない状態です。2012年は:研究会発足10 周年になりますが、それまでに整理が付くか心配になってきました。
また、研究会の事務局と云っても、寝室を兼ねた小生(斉藤)の6 畳の部屋にすぎません(左写真)。
そんなことから、今年こそ事務局の強化・充実を目指したいと思っています。ヨロシクね（斉藤 )

■2010年12月号
◇「“県民の森”のイベント《に参画～森づくりの実用技術を発信～
　“県民の森”の指定管理者に11 月から「岩手県緑化推進委員会《がなりました。
研究会は、その協力団体として一翼を担うことになり、分野としては森づくりのイベントに関わることになります。
これまで、県民の森のイベントは、どちらかと云うとお楽しみ企画が中心でしたが、研究会が担うのは、ちょっとくそ真面目なものになりそうです。例えば、ボランティアで森林の手入れに関わりたいと思っている人や、持山を管理しようと考えている森林所有者の人たちを対象に、目立て、伐木・造材のテクニックや簡単な林分調査方法など実用的な基本技術伝えるものになると思います。
つまり、研究会が日頃やっている「講座《のエッセンスを、“県民の森”というステージから発信するということになります。
このことで、森林を眺めるだけでなく能動的に関わっていく人が、一人でも二人でも増えてくれることを期待しています。

■2010年11月号
◇迫る「ナラ枯れ《～安閑としてはいられない～
　コナラ、ミズナラを集団で枯らす「ナラ枯れ《が全国で猛威をふるっています。すでに宮城、秋田にも侵入し、岩手も警戒警報の段階です。一足早く被害を受けている山形県では今年の被害木は民有林だけで17 万5 千本も確認されているそうです。
「ナラ枯れ《は“カシノナガキクイムシ(通称カシナガ)”という体長5 ミリほどの甲虫が幹に穴をあけ持っている病原菌(ナラ菌)をナラに移して発生させます。
なぜ、今、爆発的に広がっているかと言えば、里山の木が伐られなくなり老齢化し害虫や病菌への抵抗力が弱くなったからだと云われます。
岩手の雑木林はコナラを主体とした薪炭林でしたが、1969 年代の燃料革命から伐りだすこともなく(一時チップとして伐りだしたが)老齢化の一途をたどっています。
ここに「ナラ枯れ《が侵入してきたら一気に生態系が破壊されかねません。木質資源はもちろん、保水力低下、森林土壌の崩落なども心配しなければなりません。それにしても森林の管理放棄が原因の難題が、次々と出てきます。

■2010年10月号
◇森林を買い集める外国資本～日本の森林文化を理解できるか～
　中国(香港)資本が日本の森林を買い集めているそうです。日本の森林に投資するだけの価値があると値踏みしたからでしょう。
木材資源、水資源、CO2 吸収源として収益の対象として有望と考えたに違いありません。
外国人が日本の森林を所有することについて少し気になることがあります。森林に対する考え方が日本人と外国人の間に相当の違いがあると思うからです。例えば日本人は所有者がある森林にしても、森林は地域に住むみんなのもの「公共財《という暗黙の了解(ある意味では曖昧な概念)があります。
しかし、権利を強く主張する外国の人にとって暗黙の了解などという文化・慣習を理解できるのでしょうか。そして「私の所有している森林から流れる出る水を使うなら金を払ってください《などと云いだしたらどうしますか。異文化の衝突になりかねません。
外国資本を全て忌避するというのではありませんが、いま、森林を買い集めている人たちに、森林は“公共財”という概念が理解できるかどうか問うてみたいものです。
兎に角、外国資本の思いもよらないアクションを機に、改めて足元の森林や地域の環境についた真剣に考えねばならない時代になりました。

■2010年9月号
◇自己流と共有マニュアル
　ときどき、伐木や掛り木の処理などで、みんなが共有しているマニュアルと違う“自己流”で作業する人がいます。
「マニュアル通りでなくとも、木を倒したり、掛り木を処理できる‥‥《と、腕に自信があるでしょうがマニュアル無視は困ります。先ず、他の人が戸惑うだけでなく、危なくて仕様がありません。また、万一事故が発生すれば、組織が行っている作業の安全対策も問われます。
私たちの技術マニュアルは、森林の手入れを想定しています。これまで「講座《などを通じて、伐木、造材、掛り木処理などで口やかましく言いながら一つ一つ検証して積み上げてきたものです。
“自己流”が全く駄目だというわけではありません。新しい技術にチャレンジすることは良いことです。ただ、現在、採用しているマニュアルよりも安全面で優れ、合理的なものでなければなりません。
そうでない限り、みんなで共有しているマニュアルに沿って作業をしてもらいたいのです。
みんなで共有している技術があるからこそ作業の安全が保たれているといってもいいのですから‥

■2010年8月号
◇雑木林のパワー～萌芽(ぼうが)更新置
　最近、薪やチップ材にするのでしょうか伐採採されて丸裸になった雑木林が眼につきますここれを見て「自然が破壊された《と眉をひそるめる人もいるはずです。
でも、これこそが里山の自然を守り育てる行為なのです。
それは、伐り株からひこばえが生え、それが育って、やがて20～30 年もすれば再び林になるからです。
この見事な自然の再生システムを「萌芽更新《と云います。
しかし樹木が古くなると萌芽の力が衰え林は再生できなくなります。
だから樹木が古くる前に伐る必要があるのです。
丁度、研修林の近くに4 年前に皆伐したところ(左)と今春に伐ったところ(右)が隣り合っている場所があります。
こうして比較して見ますと萌芽更新の様子が良く分かります。
4,年経ったところは、もう林らしい雰囲気が出てきました。
萌芽更新のパワーを実感します。

■2010年7月号
◇伐倒方向と位置
　チェンソーの操作はできる、持ち方も良いという人でも、いざ作業にかかると、伐倒方向と違う受け口をつくる人が結構多くおります。
なぜか？体の構えが伐倒ラインに正対していないからです。
チェンソーのバーが伐倒ラインと直角になっていないのです。体の位置が決まらず足の位置もあいまいなままに、手先だけでチェンソーのガイドバーを伐倒方向に合わせようとしているのです。
物を持ち上げたり、動かすときは足の位置を固めます。野球だって柔道だって身体を使うスポーツは足の位置が大事です。何百キロもの樹木が相手の森林作業も同じです。伐り倒す対象木に対峙する時には、体、足の位置に神経を使うべきです。
その前に大切なことは伐倒ラインをどのように見定めるかです。
イメージで林の中にラインを描きます。対象木の前か後ろに立って方向を見定めますが、その時、地面の草、枯葉、枝などを目印にしてイメージでラインを引きます。慣れてくるとラインが見えるくる筈です。
伐倒ラインがハッキリ見えれば、次はチェンソーを持つ基本フォームを崩さないで、バーがラインと直角になるところに体を寄せ足の位置を決めます。
これがビューティフルな伐木作業の第一歩ですから・・・・。

■2010年6月号
◇「国際生物多様性年《と間伐
　国連は今年を「国際生物多様性年《と定め、多くの生物(ヒトを含めた)が関わり合って地球の生態系のバランスが保たれていることを理解し、あらゆる生物種を大切にしようというわけです。
理屈っぽく聞こえますが、われわれの森林づくりは林の中に多くの生物を呼び込み生物多様性を推し進めています。６年前に間伐したスギ林の例ですと、下草も生えていなかった林に、今ではクルマユリ、ナルコユリ(キツネノチョウチン)等の草や、ハナイカダ、キイチゴなどの低木が賑やか林床を覆い林は生き返ったようになりました。林に光が射すようになったからです。草や葉を食べに虫も集まっているはずです。
その証拠に取りも飛来するようになりました。林床が暖まり動きが活発になった地中の虫や菌は落ち葉や動物の遺骸を分解し、それが土壌を少しずつ肥やしているでしょう。
このように、間伐という作業は、つまるところ様々な?物や動物を育み豊かな森林生態系をつくっているといえます。暗い、生物種が少ないと云われるスギ林も手入れをすればりっぱに生物多様性保全の役割を果たしています。

■2010年5月号
◇“仲良しクラブ” ではありません
　よく「ボランティア活動をみんなで楽しくやりましょう‥‥《などのフレーズを見ますが、森林ボランティアの活動には当てはまりません。
森林作業は”わいわいガヤガヤ”と群がってやる活動ではないからです。
1分間1万5000 回転もする機材(チェンソー)を使い、超重量の樹木を相手にする作業は、まかり間違えば命にかかわる事故になりかねません。とても周りに人がごろごろいては危ないのです。
森林作業では、安全に作業をするために指示する者とされる者をハッキリ決めます。
指示する者(リーダー)は、参加者を小グループに分け、作業区域もキッチリ示し、予想される危険も明確に伝えなければなりません。
万一、事故が発生し裁判という事態(有りうる話)にでもなれば、リーダーは事故を回避するため、どれだけのことを指示、伝達したかが問われます。リーダーの責任は想像以上に重いのです。
リーダーは、時には怒鳴ることもあるでしょうが、それだけの責任を負っているからです。
森林ボランティア活動は決して「まあまあ《「なあなあ《で済まされる活動ではなのです。
お互いがシビアな関係で結ばれているのです‥‥‥。

■2010年4月号
◇“やる気” 北上で新団体立ち上げ
　県南の会員4 人が中心となり、「講座で学んだことを生かすべ～《と森づくりの実践集団を北上市で立ち上げることになりました。
先頭に立つのは、’09 年度の「講座《に参加した野田さん、松田さん、佐井さんのトリオと、それに研究会の指導スタッフ・佐藤(利)さんが加わります。
盛岡地区以外では、初めて作業技術を重視する本格的な森林ボランティア集団が生まれることになります。
研究会が、発足から8 年目、最近は「決まったことをやればいい《「俺がやらなくても誰かがやるサ《と、少々組織にダルな空気が漂いはじめた矢先に、北上のこのアクションはなかなか刺激的です。
この “やる気”“積極性”、を見習いましょう。ボランティア活動は頼まれ仕事ではなく自ら進んでやる活動です。そもそも“やる気”のある人たちが集まってやる活動なのですから‥‥‥

2010年度バックナンバー（H21.4-H22.3）

■2010年3月号
◇欲を出して売れる木を育てよう
　最近、森林というと、CO2 の吸収、水源涵養、土砂流失の防止、生物多様性の保全など・・・・・公益的な機能(環境)が強調されて、相対的に木材をつくる(経済)という面が軽く扱われがちです。
どうも木材の生産と森林の環境は別物扱いをしているきらいがあります。
でも、良質な木材の生産を念頭に森林づくりをすれば、森林の公益的な役割も発揮されます。
例えば、樹木の成長をよくするため間伐すれば、林に光が入り、葉量を増やしてCO2吸収を盛んにし、幹を太らせ、根はがっちりと表土をグリップして土砂流失を防ぐ。落葉は腐葉土となって水を貯えます。やがて、順調に育った木は、良い丸太として売られ、立派な木材になります。
つまり、売れる木を育てれば、即、森林のも良くなり社会全体に役立つわけです。
ことさらに“公益的機能”とか“森林の多様性”などと云わなくとも「欲をだして売れる木を育てましょう《とアピールするほうが分かりやすくありませんか。良質な木材の生産との公益性はイコールなのですから・・・・・

■2010年2月号
◇多い森林作業の死亡事故～昨年は9人亡くなっています～
　昨年、岩手県内で森林施業による死亡事故が9件起きています。なぜ死亡事故が絶えないのか。それは、普段、薪やほだ木づくりなどでチェーンソーを使っている人でも、殆ど伐木作業などの訓練をしていなからだと思われます。
確かに、作業は鋭い刃物、超重量の樹木、しかも現場が傾斜という非日常の環境で行いますが、決して命がけの仕事ではない筈です。
道具・機材の正しい使い方を覚え、作業の状況を判断し無理せず合理的に伐り倒すことが出来れば、死亡に至る事故は確実に防げます。
とにかく、チェンソーを使う人は危険をコントロールする技術習得が必須上限です。そうでなければ、事故が起きる度に「森林作業は危険だ《との印象を与え、ますます人々の意識を森林から遠ざけてしまいます。
森林作業をする人は、自分のためにも、みんなのためにも安全・正確な技術を習得してほしいものです。折角、未来をつくり、温暖化防止に繋がるやり甲斐のある作業なのですから。

■2010年1月号
◇アマチュアの森づくり‥‥プロとの違い
　森林作業で「ボランティア(アマチュア)なのだから、プロと同じことをしなくても‥‥《という人がいますが、「少しぐらい手を抜いても‥‥《という甘えならば許されません。作業の仕上がり(質)はプロもアマも同じレベルであるべきです。
例えば、保育間伐の場合、プロもアマも間伐率に従って間引く本数は同じでなければなりません。
ただ、作業のスピードには差があります。また、作業のやり方も少し違います。プロは圧倒的に経験が豊富で、体も頑健です。
時には大型高性能機械も使います。一方、アマは作業向けの筋肉が出来ていないため、必要があれば滑車、テコ、クサビなどの補助具を使い、また安全確保のためロープなども用います。そういう意味では、アマはプロとは違った多様なテクニックも求められているのです。
わたくしたちはプロの真似をするのではなく、身の丈に合った作業スタイルを追求しているのです。それが森林作業のリスクを回避し安全・正確な森づくりの道だと信じているからです。

■2009年12月号
◇考現学～雑木林(落葉広葉樹林)
　雑木林は1950 年代中頃までは薪や炭の供給源としての役割がありました。
しかし原油が輸入されるようになり、雑木林は「低質広葉樹林(役立たない雑木林)《と称され、収入を得られるスギやマツ林に造り替えられました(拡大造林＝これの荒廃が激しい)。残った雑木林は一時チップ材として重宝されましたがその勢いも今は無く、すっかり見向きもされない存在になっています。
伐根から出てきた萌芽ぼうが枝し(ひこばえ)は間引きもされず(昔は焚き木にした)大きくなって折れ、朽ち重なるなど荒れ放題になっています。そもそも、雑木林は伐り株に芽を出す力があるため、人が苗木を?えることなく何千年も利用され維持されてきました。
ところが、その萌芽力も老齢木になるとパワーが衰えてしまいます。
つまり、このまま放っておいては次世代の樹木の芽も出なくなり、人と自然が紡いで来た雑木林の資源循環システムは途絶えてしまいます。実は今、雑木林はそんな危ない瀬戸際に立っているのです。

■2009年11月号
◇長さ・方向・角度に鋭敏になろう！
「受け口の斜め切りは30°から45°の範囲《「追い口は水平に○○センチ《「木の高さは何メートル?《「直径は何センチ？《「バーは伐倒方向に直角か？《次々と長さや方向、角度のことを云いますが、森林作業では、これを疎かにすると危なくて仕事になりません。
自分だけで無くパートナーをも危険にさらしてしまいます。
角度○○度、巾△△ｃｍ、高さ□□ｍなどと神経を使わなければならないのが森林作業の特性です。
さて、計る道具も待たずに長さ・方向・角度が分かにはどうしますか。それは日頃から、長さ・方向・角度に対する感度を鍛えることです。その方法は、先ず、最初は対象物を目測し、次に道具で計って比べることです。これを何回も何回も繰り返せば脳のどこかに馴染んでくる筈です。
やがて長さ・方向・角度に対する貴方のセンサー(感覚)が鋭敏に働くようになります。感覚を鍛えることは何処でもできます。
自分の人差し指は何ｃｍ？街で電柱を見たら高さ何ｍ？などと気にすればいいのです。角度は45°(分かりやすい)を基準に感覚をつかめばいいでしよう。兎に角、長さ・方向・角度のセンサーを磨きましょう。

■2009年10月号

■2009年09月号
◇森林の荒廃とマニフェスト
　総選挙で民主党が圧勝し政権が代わり、公約した政策が打ち出されてくるでしょう。
ところで、今回の総選挙で各党が出したマニフェストに“森林の保全・再生”を掲げたのは新党日本(党首・田中康夫さん)だけでした。
どうも、選挙となると、現下の景気・雇用・医療・教育・子育てなど暮らしの中の身近な問題に耳目が集中します。それに対して長い時間で見なければ分からない森林の荒廃問題は、緊急性があるとは考えられず無視されがちです。
しかし、森林は、水源涵養、災害防止‥‥など根っこのところで私たちの生命・暮らし、産業を支えているのです。例えば森林から滲み出る水が無ければ農業・漁業(食料生産)も、工業も成り立たちません。森林の荒廃問題は、それほど身近で重大な問題なのです。ただ、ダメージがジワーッと効いてくるので分からないだけです。新政権にはマニフェストのあるなしに関わらず、森林問題は国づくりの基本として是非取り組んでほしいものです‥‥

■2009年08月号
◇進化してます‥‥作業技術
　今年度の「講座《もスタートして4 ヶ月、順調に推移しております。
ところで、講座の研修内容を見ますと、チェンソーの操作、目立ての方法、補助具の使い方など何年か前の研修とは大分違ったものになっております。それは、講座に良いと思う理論やテクニックを積極的にカリキュラムに導入してきたからです。
従って、何年か前の研修には無かった項目や技術内容が、新しく加わるようになりました。
そんなことで、久しく実践活動に姿を見せていない人は、技術をオールドファッションにしないために、出来るだけ右欄の「県民参加の森林づくり《などにきて、最近の技術を確認しては如何でしょう。研究会の技術も否応なしに年毎に進化しているのですから‥‥

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